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意外な中国外交の側面 -川島真,編『中国の外交 自己認識と課題』

 中国という国は、どんな外交をやっているのか。最近はアフリカでの外交のことがよく話題に上がるようです。
 それを学ぶのに、川島真,編『中国の外交 自己認識と課題』はお勧めです。日本の第一線の研究者が、論文を書いていますし、興味あるテーマからお読みいただけます。今回は面白いところだけをピックアップしましょう。

 まずは、川島真「中国外交の歴史 中華世界秩序とウェストファリア的理解の狭間で」を取り上げます。
 面白いのは、「清末にはすでに、列強からの侵略の過程を、アヘン戦争を起点に描くという歴史叙述があらわれている」という点です(15頁)。中国が侵略されていることを強調する物語(=歴史)は、共産党がいきなり創出したものではないのです。ただし、まだこの時点では、日本は侵略国として突出して強調されているわけではなかったのです。突出するのは、中華民国時代以降のことです。
 しかも、「中華思想という中国外交の説明方法は、一九三〇年代に日中関係が悪化し、中国ナショナリズムを脅威として日本が認識するなかで、日本発のものとして生じたものだと考えられる」そうです(22頁)。ずばり、那波利貞 『中華思想』(1936年)が、発生させた代表例です。中国の外交を説明する語「中華思想」は、日本側から作り出されたものだったわけです。実際、さっき、NDL-OPACで、「中華思想」で検索したら、1930年代までしか遡れませんでした。
 もっと凄いのは、歴史認識問題自体、教科書問題として三〇年代初頭に、国際連盟で両国が議論を行っていた、ということです。もう30年代から、歴史をめぐって、教科書問題が起きていたわけです。昔からのようです。
 無論、中国側に有利な証拠ばかりではありません。実際、中国は、朝鮮に「租界が存在し、中国がそこで自らに有利な双務的ではない特権を享受していたことは歴史的事実」だと指摘しています(28頁) 中国は単に「被害者」ではないのです。被害者として自国を歴史の中に位置づける中国ですが、こういう点は、忘れないで欲しいところです。

 続いて、毛里和子「日中関係の再構築のために 六つの提案」です。 

 要するに、七二年対日交渉の際中国リーダーの最大関心事は、日本が台湾との政治関係をすっぱり切るかどうかであり、結果として、賠償請求放棄がそのためのもっとも有効なカードになった、ということである。

 223頁から引用しました。日台の政治関係を切ることが、賠償請求放棄の基礎条件だったわけです。日台の政治関係をずるずる日本側が引きずってるっている以上、賠償要求をあっちが言ってきても、そりゃあ文句を言えませんよ。

 最後に、石井明「中国と上海協力機構 安定した対ロシア・中央アジア国境地帯」です。
 上海協力機構では、「三悪」という敵の定義を設けています。三悪とは、テロリズム、分離主義、宗教上の急進主義の三つを指します。しかしこの定義だと、

 中央アジアでのテロリストの活動だけでなく、ロシア連邦内でのチェチェン人の独立を求める運動や、新疆でのウイグル人など少数民族の独立運動も、上海協力機構の構成メンバーが共同で戦うべき三悪勢力に含まれる、ということになる。(143頁)

 この点が、よく批判されます。しかも、アメリカ軍はアフガン戦で、「東トルキスタン」テロ組織の基地と訓練キャンプを「たたきつぶし」、中国籍の「東トルキスタン」テロ分子を捕え、中国側と一緒に尋問しているのです(145頁)。米国と中国がこれだけ仲がよろしいなら、さぞかし台湾は安全でしょうね。

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