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多数代表制と比例代表制 -ついでにバジョット /加藤秀治郎『日本の選挙』を読む(2)

 さて前回、中選挙区制について説明しました。
 ちなみにこの制度、実質的に山県有朋がスタートさせたものです。原敬が一時期小選挙区制に戻したものの、すぐに護憲三派内閣が中選挙区制という形で、戻します(p36、37)。大選挙区と小選挙区での間を取るのと、三派がそれぞれ当選者を出せるようにしたためです。なんというご都合主義。これじゃあ、軍部に介入される隙を作ってしまうのも、当然といえば当然かもしれません。

 そんなご都合主義に反対していたのが、吉野作造や美濃部達吉でした。しかし、二人の目指す選挙制度は異なっていました。吉野作造は多数代表制支持で、美濃部達吉は比例代表制の支持でした。ただ二人とも、中選挙区制には反対していたのです。
 では何故折衷を嫌ったのか。簡単に言うと、制度にも設計思想というのがあって、混ぜ合わせとかいいとこ取りというのは、かえって設計思想をぼやかしてしまうものです。二人はともに、この点を曖昧にしてはならないと考えたようです(著者も同じ考えです)。

 では、多数代表制(小選挙区制度など)と比例代表制について。
 著者は、「二大政党制を、二党の議席数の伯仲と混同しているものである。(略)小選挙区制は、小さな得票の差を大きな議席の差とする制度である。(略)二党の議席が伯仲することは少ない」と言及しています(22頁)。
 要するに、そもそも、小選挙区は多数派政党を作るための制度であって、二つの政党を伯仲させるための制度ではないのです。差別的に、不公平に、分りやすい一党多数派を作るための制度なのです。安定した多数派を作るための。何のために多数派を作るのかといえば、議院内閣制の場合、議会多数派を基盤に内閣が作られる以上、与党が議会の多数派を握っておかないと、政治が不安定になる、という理屈です。

 ちなみに、多数代表制指示の代表者が、ウォルター・バジョットです。福沢が自身の皇室論の下敷きにした、君主制擁護論の古典『イギリス憲政論』の作者でもあり、金融における「バジョット・ルール」の考案者としても知られる人物です。バジョットルールとは、金融危機の時に、中央銀行が、「十分な担保さえあれば、通常より大幅に高めの貸出金利をつけて、相手が望むだけ思い切って貸し出す」というルールです(竹森俊平『1997』より)。高めの金利なのは、低金利だと、大量に借りたお金を、より金利の高い他国で投資してしまう恐れがあるからだそうな。

 脱線しましたが、次回は、「では、内閣制度で比例代表制はダメ?」という問いを立てます。

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