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いかにして「どうしてこうなった日本の大学 orz」となったか? -矢野眞和『「習慣病」になったニッポンの大学』を読む 前編-

 矢野眞和『「習慣病」になったニッポンの大学』を読む。



 この本の内容は、本田先生がつぶやいている通り、

入学者の大半を新規高卒者が占める「18歳主義」、入学すれば卒業は容易な「卒業主義」、教育費の「親負担主義」から大学を解放し、生涯いつでも質の高い学びの機会が保証されるよう公費の投入が必要と説く。

というもの。
 hamachan先生も書評書いているから、そっちも参照するように。
 まあ、こちらは適当に書いていこう。



 普通、大卒の数が増えるってことは、大卒の価値が小さくなると考えられがち、つまり、大卒と高卒の賃金格差が小さくなると思われがちだけど、実際はこの十数年の間に、賃金の学歴間格差は大きくなってる(6頁)。
 著者は、これを、大卒の価値の重要性(単純な労働から、知識を活用する労働への人口の移動)ととらえている。
 まあ、これ間違いじゃないと思うけど、大きな要因は、正社員と非正社員の格差がそのまま反映したことなんじゃないかな。大卒の方が、正社員になれるような気がするし。どうだろうか。
 


 端的にいうと、
 欧州の場合、学費は低価格か無料で、代わりにそれを国費でまかなってて、それがゆえに仮に卒業できなくても、その分「学費ドブに捨てたーっ」って事態にはなりにくい。入学優しく、卒業厳しくって出来るのは、このシステムのおかげだったわけだね。学力をこうして一定維持してる仕組み。

 米国の場合、基本学費の安いor無料の公立大学と、学費が基本高いの私立大学の二段階制。で、学力のある奴は、私立大学(アイビーリーグとか)目指すんだけど、これが結構お金掛かる。だから、金のある階層の奴しかは入れないわけで(奨学金制度もあるけどね)、結果、金持ちほど名門私立大学とかに入って、金持ち階層が再生産されるんだよ。
 ただし、金持ちじゃなくても公立大学に安い金で入れるって仕組みでもある。しかも、米国の場合8割が州立大学(138頁)。だから、大学に入る機会は、州立含めれば、ちゃんとある。学力が比較的低くても、ちゃんと州立大学で勉強する機会があるってワケだ。もっというと、低所得階層出身者でも、州立大学へいけるチャンスがある。

 日本の場合はどうか。日本の場合、基本学費の安い国公立大学と、学費が高い私立大学がある制度だけど、米国と違うのは、多いのが私立大学ってこと(何でそうなったのかは、本書を読んで欲しい)。
 で、公立大学の場合、比較的高い学力の学校が多いけど、大学総数から見ると公立大学の数は私立より少ない。一方、日本は私立大学は多いけど、学力高い所から低いとこまでいっぱいあって、しかも学費が高い。結果、学費の安い(しかし高い学力が必要な)公立大学にいける奴は少数で、残りは、学力の高い私立に行かなきゃ行けない。で、学力の低い奴は、大学行くために、私立の高い学費支払わないといけないって仕組み。もっというと、低所得階層は、国立行くしかもう道がないんだよね。

 以上が、欧米日の大学事情。これを何とかしなきゃ、ってのが著者の問題意識。



 68年時代の学生運動にも触れられてる。そういえば、私立の学生闘争って、値上げ反対運動がそのスタートだったんですよね(148頁)。で、これが、一気に火をつけて、独立に発生してた東大(国立だからねw)の全共闘運動と重なって、全国的な反体制運動になっていた。
 つまり、この当時、学費値上げは、学生運動を引き起こすほどの政治的論点だった。しかし、80年代以降もどんどん学費は値上がってたのに、もう政治的論点にはならなかった。月収を上回る値上げにもかかわらず。
 それどころか、国立の授業料が大幅に値上がりした
(203頁)。おいっ!!

 その背景にあったのが、学生運動以降の時代の、「大学の数が多すぎる」という世間の風潮。先進国各国で、こうした指摘がされたことがある。でも、先進国各国の場合、その後"大学は増やすべき"という議論に変化していったのに対して、日本の場合は、ずっと"大学多すぎる"という論が主流だった(ここら辺、少し大雑把なので、詳細は本書をご参照ください)。
 で、大学多すぎるって主張が、そのまま、大学はわざわざ入る必要のないところだ、入らなくてもいい、って主張に転化する(レジャーランド呼ばわりも、こういったのが背景にある)。
 この、わざわざ大学に入らなくていい、という主張が、学費値上げをする隙を与えた。値上がりしたって、別に大学に入らなきゃいい、ってことになるからだ。こうして、貧乏人でも大学入って勉強したい奴の道は、閉ざされていったのだった。
 (実際、勉強しなくても大学卒業がたやすいシステムが、この「大学入らなくていい」説を補強したと思われるが、これについては後述する。)



 (追記)
 アメリカの私立大学については、給付型奨学金制度などを考慮する必要がある。詳細は、例えばこちらを参照のこと。

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