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中央銀行(+政府)の金融政策への果然とした姿勢こそが、市場の「予想」を動かす 岩田規久男『デフレと超円高』を読む

 岩田規久男『デフレと超円高』を読む。
 良書評として、『事務屋稼業』さんのこちらの記事も御参照ください。



 「実質実効為替レートでみると、現在は円高ではない。」
 このような発言は、デフレは問題じゃないよ、といっているのと一緒(62頁)。
 真顔で言っちゃダメな類の発言。

 アタリマエだが、念の為。



 外需主導の景気回復について(91頁)。

 実質賃金(全産業。30人以上の事務所)の変化を見ると、2002~07年は、実質賃金が基本マイナス傾向で、上昇した場合でも、企業の利益率の伸びに比べて極めて低水準にとどまる。
 これはデフレのため、国内の売上高が低迷し、国内の雇用需要が振るわなかったことが大きい。

 海外売上高主導の景気拡大というのは、労働者にとって不利な景気の回復だった。



 量的緩和というのは、「民間にお金が出回り、それがモノの購入に使われて、物価を引上げる」というようなものではない(143頁)。
 そうではなく、将来の貨幣の供給経路や物価に関する市場の予想を変えることによって、為替相場や株価に影響を与えるのだ。
 人々の"予想"を好転させることが、実は一番重要。

 
 アタリマエだけど、念の為。



 デフレ脱却当初は、予想インフレ率だけがプラスに転換し、その後物価が好転するが、貨幣は増加しない。
 つまり、銀行の貸し出しはこの時点では増えない。

 まずは、今まで使われなかった、民間主体の手持ちの現金・預金が頻繁に使われるようになり(株の購入や、モノ・サービスの購入)、貨幣取引の流通速度が速くなる所から始まる。
 その状態が一定期間続いてから、やっと銀行の貸し出しも増えていく。

 
 繰り返し言うが、民間主体(各企業や各家庭)の"予想"を動かすことが重要。



 ハイパーインフレの時、それを終息させたのは、中央銀行が貨幣の通貨量の宣言を発表し、国債引き受け額に上限を設けることを宣言することだった。
 これが、第一次大戦後のドイツでの手法だった。

 だが、ハイパーインフレが終息していく最中も、実は、紙幣は供給され続けていた。
 貨幣供給量は、ハイパーインフレ終息後も増えていた
のだ。
 このような事態は同時期のハンガリーやオーストリアでも同じだった。
 ハイパーインフレが終息していく過程でも、貨幣供給量は増加していた。
 
 従来の金融政策のルール(「金融政策のレジーム」)を転換することを宣言したことが、民間市場の予想を変化させ、予想によって生じていたハイパーインフレを、貨幣供給量と関わり無く突如終息させたのだった(181頁)。

 "予想"がいかに重要か、これで分かるだろう。



 著者は、フランクリン・ルーズベルト大統領の場合、FRB議長を、保守派からリフレに協力的なユージン・ブラックに交代させたことで、金融政策のレジームが転換し、デフレを脱却できた、という。
 そして、日銀政策委員会のメンバーを、少なくとも過半数はリフレ支持者に入れ替えない限り、金融政策のレジームを転換させられない、という(206頁)。

 そのとおりだが、ハードル高いw
 (『日本銀行は信用できるか』の時よりハードルがあがっている気もするw)
 まあ、白川総裁が、(よい意味での)「君子豹変す」にならないと、やっぱり無理だよね



 (追記)
 本書とは関係のない話。

 ずっと前に、デフレをめぐって、はてブでのやり取りがあった。
 お相手は、perfectspell氏。
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110722/1311344956
http://b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110722/1311344956
http://b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110722/1311344956
 要するに争点になったのは、

 何で、『経済財政白書』は、OECDの統計をメインに使っているのに、日本のGDPギャップ要因だけ、内閣府の奴を使ってんのよ?

という点。
 http://www.epa.or.jp/esp/09s/09s10.pdfを見ると分かるが、OECDの統計の場合、ゼロインフレの状態を基準にしているのに対し、内閣府統計の場合、過去のトレンドから判断して実現できそうなGDPというのを基準にしている。
 その差が、2%。


 つまり、『経済財政白書』がわざわざ内閣府の基準を持ち出してきたのは、自分たちも2%程度のインフレ率が必要だと考えているから、と推測される。
 2%程度のインフレ率は当然必要で、それに到達しないのはGDPギャップ要因が大きい、というのが『経済財政白書』の意図と思われる。(まあ、あくまで仮説ですが)

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